社長は探偵

私が今でもプライベートでお付き合いさせていただいている社長は、70歳にして未だ現役バリバリ。

某名探偵コナン・某シャーロックホームズと同じ職業、探偵である。もちろん知力は人一倍必要になるが、体力も相当必要になる。

この職種は魑魅魍魎かつ事実は小説よりも奇なりの世界。私たちでは全く想像のできない不思議な世界なのだ。

とは言っても仕事の80%以上は昨今お騒がせしているスキャンダル。そう、不倫や浮気調査が占めている。

テレビとは全く違う世界

探偵はテレビとは全く違う世界

探偵というと黒い帽子をかぶり、スーツ姿で電話柱の陰に隠れている光景を頭に浮かべるが、実態は我々が考えているよりも地味であり、地道な努力と労力を要する仕事なのである。

聞いた話では、車の中で3日間過ごすこともあり、食事はすぐに車を運転して追跡できる様にパンかおにぎりといった固形物。

目立った服装は御法度なのでオーソドックスなYシャツとスーツ姿という一見サラリーマンにしか見えない格好が多い。

70歳という社長は常に食事には気を遣っており、お腹の調子が悪くならない為に日頃から極力生ものは避けているらしい。

また場合によっては徒歩で追跡するシーンもあるとの事で、これまた日頃から体力維持の為にトレーニングやランニングを欠かしていない。

パッと見では実年齢よりも10歳以上は若く見える、ダンディーな社長さんである。

私は数度お会いするうちに、同じスポーツマンであるという共通点から気に入られ、度々お互いの時間が空いた時には喫茶店などで数時間を過ごす間柄となっていた。

いつもとは違う様子の社長

社長からの一本の電話

ある日の事である。私の携帯電話が鳴り、電話をとると少々疲れた社長の声があった。

私はいつもとは違う社長の声を感じ取りこう問いかけた。

私

何かあったのですか?

すると、いつも強気なはずの社長が珍しく弱気な口調でこう答えた。

社長社長

最近は何かとイライラすることが多くてねえ~。

ストレスが溜まっているんだよ…。

私は“こういうときにフォローしてあげられるのが営業マンの役目だ”と感じ、こう返した。

私

近々仕事が落ち着くので一段落したら一杯行きますか?

社長は、”その言葉を待っていました!”と言わんばかりに二つ返事で答え、会食の運びとなった。

時は経ち、探偵という職業を持つ人はどんな場所で食事をするのか興味があった私は、指定された場所に行ってみた。

私は『探偵=隠れ家的お店』とイメージしていたが、着いてみると何の変哲もない鉄板焼き屋さんであった。

酒が入ると不思議なもので会話は弾むし、口もいつも以上に軽くなる。

私は業界の裏話やエピソードなどを数時間余り堪能させてもらった。また社長のストレスも発散させてあげた。

意気投合した我々は店を出て二次会に行こうという話になった。

社長と〇〇の禁断の愛

社長はLGBT

あまり飲み屋に精通していない私は社長の行きつけのお店に行くことにした。

そこで私は社長の別の顔を見る事となったのである。

路地裏にあるそのお店は”場末”という表現がピッタリな薄暗いスナックであった。お店には初老の客がカウンターに座ってカラオケを唄っている。

カウンター内には一見50歳過ぎのマスターがビールを飲みながら出迎えてくれた。

しかし私は何か異様な気配を感じたのである。予感は見事に的中した。

なんとマスターと社長が目の前で抱き合ったのだ!

あのダンディな社長は同性愛者だったのか!?

しかし時すでに遅く私はマスターの獲物としてロックオンされてしまった…。

今考えてみれば社長は私にマスターに会わせることよって、自分達の仲間に引きずり込む作戦だったのだ。

私は丁寧にお断りをして、カラオケを一気に数曲予約し唄い倒すことによって、このピンチを何とか逃げ切ったのである。

人間だれしも二面性、表と裏の顔を持っていると言われるが、こんな二面性はゴメンでありたい。