営業マンの心得

人の顔が一人ひとり違うように、人の心も十人十色であることは皆さまもご承知だと思う。

実際に私が25年間で延べ10,000人以上のお客様(経営者)とお会いして自己紹介から始まり自社の商品について説明していても社長の対応はそれぞれ微妙に違うのである。

ジッと集中して話を聞いている人、途中途中で質問をしてくる人、商談中も上の空でキョロキョロ落ち着きのない人など様々である。

入社して数年は私も余裕など無く、お客様の仕草や微妙な変化に気が付くことが出来なかったが、あるお客様からの一言で「ハッ」と目が覚めたことがあった。

どの営業マンも避けて通ることないであろう基本となる部分をこれから話していこうと思う。

営業マンは基本を忠実に

それはちょうど1,000件目位で、見た目通りの温厚な年配の社長とお話をしている時のことである。

普段と変わらない営業のルーティーンで進めていき、いざ決め手を打とうと私はこう言った。

私

社長様、今回は私の提案で進めさせてもらっても宜しいでしょうか?

少しの沈黙があり、先方が何も言わないまま私は矢継ぎ早にまたもこう言った。

私

それではこちらにご署名とご印鑑をお願いします!

鞄から申し込み書類を取り出しながら自分のペースで商談を進めていると、やっと先方の口が開いた。

社長社長

君の説明は非常に分かり易く、理解した。

私

ありがとうございます!それではこちらにご署名とご印鑑をお願いします!

再度決め手を打ちに行き決了にもっていった。しかし、先方から私が予想だにしていない思いもよらぬ言葉が返ってきた。

社長社長

君の説明には納得したが、少し考えさせてもらえないか?

私

なぜですか?何かご不満や不安があるのでしょうか?

社長に対して少し苛立ちを隠せずに、つい強い口調で聞き返してしまった。

社長社長

いや、不満はないんだがねぇ~…

私

それでは、こちらに…

半ば少々強引に決着をつけようと思って再度決め手を打とうとした。しかし次の瞬間、私は稲妻に打たれたかのような電流が体中に走り抜けた。

社長社長

〇〇君の言いたいことはよく分かっているし、私もこの商品は買いたいと思っている。

しかし、〇〇君は私の目を見て話していなかったね。あなたは気が付いていなかったでしょう。契約を取りたくて一生懸命なのも分かるが、人と話をするときは目を見て話さないと一方通行の会話になるよ。

実は今日東京から私の息子が孫と一緒に帰ってくることになっていてね?15時頃に〇〇駅に着くことになっていたから正直〇〇君の説明も頭にあんまり入っていないし、〇〇君の後ろにある時計ばっかり見ていたよ…!

優しく諭された私は冷静になって考えてみた。

確かに、功を焦るばかりに一方的に商品を売りつけるような営業になってしまっていた。この指摘はかなり精神的にこたえた。

自分のことばかり考えて相手側の意見を聞きもせず自己中心的な営業になってしまったと共に、営業の基本的動作である人の目を見て会話をし、仕草や態度によって相手のサインを察知するという営業マンの五感を果たせていなかった。

できる営業マンは失敗から学ぶ

できる営業マンは失敗から学ぶ

この一件から私は相手の目を見て話しを進めるように努め、相手の仕草や手足の動きまでを一寸も逃す事無く観察するようにした。

最初は戸惑うこともあったが、いずれすぐに慣れてくる。このように私の洞察力は徐々に研ぎ澄まされていった。

この後、営業成績はメキメキ上昇していったことは言うまでにもない。

人は失敗から学ぶことのほうが多くある。もし私が今回このような指摘をされていなければ営業成績は落ち続けたであろう。

言われてから直すのではなく、自ら気付き直すことが一番大事ではあるが、人間そんなにうまくできていない。

『指摘されたのであればすぐに取り入れる』完璧な営業マンを目指すのであれば何一つ文句を言わず、この言葉を頭の片隅に置いて行動しよう。